感染症予防には口腔ケアが重要

感染症予防には口腔ケアが重要

新型コロナウイルスの感染が再び猛威をふるっています。

今回は感染の予防と重症化を防ぐために、【歯と口の健康維持】の観点から、対策を考えてみます。

口腔ケアを疎かにすると、毒性物質や細菌などが上皮細胞を破壊します。これがいわゆる歯周病の始まりです。歯周病になると毒性のある物質が血管から全身に拡がっていきます。アメリカの報告によると、歯磨きをしない実験によって、56%の若者が新型コロナウイルス感染症の重症化に関わる細菌の毒性物質が血液から検出される病態(=エンドトキシン血症)を発症したそうです。しかし、その後の口腔清掃により回復したとのこと。このように、歯科疾患のある人が新型コロナウイルスに感染すると、重症化するリスクが高まる点が懸念されています。

また、唾液1mlあたりには約1億個の細菌が含まれています。唾液の誤えんも肺炎に関係しています。新型コロナウイルス感染症の治療では抗生物質も投与されますが、副作用として腸管の防御力が低下します。そのときに唾液中の細菌が腸に残ると、炎症の拡大を引き起こす可能性が高まります。

つまり歯と口内の細菌などは、循環器・呼吸器・消化器の3方向へ拡がり、さまざまな臓器に慢性の炎症を引き起こします。この状況下では免疫暴走や細菌性肺炎、敗血症などの危険因子になり得ます。皆さんにも、歯と口の健康の重要性を理解し、新型コロナウイルスの感染に備えていただきたいと思っています。

日ごろのホームケアに加えて、医院でのメンテナンスも重要です。

お口の健康を保って、コロナウイルスに負けないからだづくりを心がけていきましょう!

 

参考) 日本歯科医師会 『新型コロナウイルス感染症に負けない歯と口の健康づくり』
https://www.jda.or.jp/corona/Tooth-and-mouth-health.html